ダウン症の成人患者の一部では、日常生活を送るのに必要な能力が低下する事例が確認されています。製薬会社エーザイはこれらの患者を対象にした治験を8月に実施し、QOL改善の可否を調査することが明らかとなりました。
臨床試験に使用するのは、同社が既に販売しているアルツハイマー治療薬「アリセプト」(一般名ドネペジル塩酸塩)です。これはシナプス情報伝達の促進作用をもちます。
治験では、15~39歳のダウン症患者、特に活動力が低下したり会話が少なくなったり、睡眠に異常が見られる人に1日1回服用してもらいます。対象者数は数十人になる見通しで、有効性と安全性に主眼を置いて3、4年追跡調査する予定です。
厚労省に対する適応拡大の申請が受理されるか否かはわかっていませんが、初期段階では全国約10施設の病院で実施します。病院名は公表されていません。
主力医薬品の延命と販路拡大に向けたエーザイの戦略は成功するのか、今後に注目したいです。