• 平井 将秀

人工咽頭の移植に成功:ProTip社とStrasbourg大学病院


咽頭部機能障害の患者を対象とした革新的な医療機器の開発会社であるProTip SASと、Strasbourg大学病院は、患者に対する人工咽頭(artificial larynx)の移植に成功したことを発表しました。

2012年6月、Strasbourg大学病院ENT部のChristian Debry らのチームは、咽頭癌を呈する65歳の男性を対象に、初の大手術を行いました。

手術の第一段階では、外科チームが患者の咽頭部を取り除き、人工咽頭の最初の構成部であるチタン製の気管軟骨輪(tracheal ring)を埋め込みました。

人工の気管軟骨輪の主な任務は、咽頭が形成する接合部を再現し、それを管として機能させることです。人工軟骨輪はその成分が周囲の組織に取り込まれ、その結果として喉の接合部を形成します。

そして数か月後の2012年11月には人工咽頭埋め込みの第二段階へと進み、全身麻酔薬(general anesthetic)をかけて、取り外し可能な弁膜状の器具を(患者の口を通して)気管軟骨輪に挿入しました。人工の咽頭器具は咽頭自身の機能を部分的に再現したため、患者は上気道(upper respiratory tract)を通して呼吸できるようになりました。

Debry医師によれば、この手術は20年以上の研究の成果であり、彼が学生の頃に博士論文(doctoral thesis )の一環としてこの研究を開始したとのこと。咽頭を代替する適切なバイオ材料を獲得することを目的に、Insermと連携して長年にわたって開発を続けた成果は、多孔性の固体チタン(solid and porous titanium)を選んだことにより具体化します。このチタンは生体材料として人工咽頭に必要なすべての性質を備えています。

ProTip 社は、咽頭部疾患を対象とした画期的な医療機器開発を促進させることを目標に2005年に設立されました。

咽頭切除術は140年もの間進歩がなかったので、今回開発された新しい手術法は咽頭癌患者に新たな希望を与えることになるでしょう。


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