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Sylvant(siltuximab):多中心型キャッスルマン病の初のFDA承認薬

  • 平井 将秀
  • 2012年5月22日
  • 読了時間: 1分

リンパ腫( lymphoma;リンパ節の癌)に似た難病である多中心型キャッスルマン病( multicentric Castleman’s disease ;MCD)の治療薬として、 Sylvant (siltuximab)がFDAにより承認されました。

MCDはリンパ節や体内の関連組織における免疫細胞の異常な過剰増殖をもたらします。発熱や夜間の発汗、体重減少、疲労感などに悩む成人では体の免疫システムが弱く、感染症に対抗できないことから、MCDが生じやすくなります。

Sylvantは免疫細胞の異常増殖を促進させるたんぱく質を阻害し、その作用を発揮する注射剤です。HIVやヒトヘルペスウイルス8(human herpes virus 8)に感染していないMCD患者が対象となります。

FDAは優先審査プログラムでSylvantを審査しました。同プログラムは、重度疾患の治療における安全性と有効性を著しく改善させると考えられる治験薬に適用されます。また、Sylvantは難病を対象とすることから、オーファン・ドラッグ指定も受けました。

Sylvantの安全性と有効性は、HIVおよびHHV-8陰性のMCD患者79名を対象とした臨床試験で評価されました。被験者は無作為にSylvant群とプラセボ群に割り付けられました。

主な副作用は皮膚の搔痒感、体重増加、発疹、血中尿酸値の上昇、上気道感染です。

同薬はJanssen Biotechが製造販売します。

SylvantはMCD患者を対象とした初のFDA承認薬です。本日の承認は難病に対するFDAの取り組みを示すものでしょう。


 
 
 

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