心疾患リスクの非常に高い患者を対象とした新しい抗凝固薬『 Zontivity (vorapaxar)』が、FDAにより承認されました。同薬は、心発作や脳卒中などによる死亡リスクを低下させるようデザインされています。また、心臓への血流や下肢動脈閉塞を回復させる上で、手術の必要性を低下させるものでもあります。
「心発作の既往歴を有する患者や、末梢動脈疾患(足の動脈凝固)を呈する患者に同薬を使用すれば、心発作や心血管死亡のリスクが低下します。3年間の臨床試験では同リスクが9.5%から7.9%に低下しました。」とFDAの医師Ellis Ungerは述べています。
今回の承認を歓迎するある心臓外科医は次のように述べています。
「心発作の既往歴のある患者に対しては、既存の抗凝固薬を使用しても将来の心発作リスクを低下させることができません。vorapaxarの承認は、上記の疾患リスクをさらに低下させるものであり、さらにアンメット・ニーズを満たすものであることから、歓迎されるべき決定です」
しかし、脳卒中、一過性脳虚血発作( transient ischemic attack)、脳内出血などを呈したことのある患者に対してはZontivityを使用できません。
承認を決定付けた臨床試験には25.000名の被験者が参加しました。他の抗血栓薬(アスピリンやプラビックス)などにZontivityを追加すると、不活化プラセボ薬を追加した場合と比較して、心発作、脳卒中、心血管死の発生率と、血流を回復させるための緊急手術の実施率が低下しました。
Zontivityは、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)アンタゴニストという新しい薬剤クラスに属します。
FDAによれば、Zontivityを使用すると出血しやすくなるため、長時間の出血や過度の出血、または血尿を呈した場合には医師に報告する必要があるとのこと。
他の抗血栓薬と同様に、Zontivityは致死的な出血リスクを高めます。薬剤のラベルにはこのことに関する警告文を付記しています。
ZontivityはMerck & Co., of Whitehouse Station, N.Jの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corpにより製造販売されます。
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