平井 将秀

2012年5月18日

Valchlor:初のメクロレタミン外用薬;菌状息肉腫型の皮膚T細胞性リンパ腫を治療

株式非公開の製薬会社Ceptaris Therapeuticsは、オーファンドラッグ『ゲル製剤Valchlor』のFDA承認を得たことを発表しました。同薬は、皮膚病変の治療経験を有する患者における菌状息肉腫型(mycosis fungoides-type)皮膚T細胞性リンパ腫(cutaneous T-cell lymphoma:CTCL)の局所治療に用いられることになります。Valchlorはメクロレタミン(mechlorethamine)の初の外用薬であり、一般にナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)として知られています。皮膚に1日1回局所的に塗布します。
 

 

これは患者と治療コミュニティにとって良い知らせでしょう。


 

 

 
メクロレタミンは、CTCLの最も一般的なタイプである菌状息肉腫を対象とした、頸静脈治療で用いられる化学療法剤です。メクロレタミン製剤は早期CTCLの治療薬として全米総合がん情報ネットワーク(National Comprehensive Cancer Network)の推奨を受けています。Valchlorの承認以前は、メクロレタミン外用薬でFDAの認可を得ているものはありませんでした。


 

 

 
Valchlorを用いることにより、医師は病期IA/IBの菌状息肉腫型CTCLを治療できるようになります。


 

 

 
メクロレタミン外用薬の使用は数十年以上にわたって報告されてきましたが、厳格なFDA承認プロセスを切り抜けたのは今回が初めてです。規格品となったことで患者からの支持も受けやすくなるでしょう。


 

 

 
Valchlorは外用薬としてのみ使用されます。細胞毒性を有することから、皮膚炎や粘膜傷害、続発性がんをもたらす危険性があるため、患者以外の人は皮膚で直接触れてはいけません。また、メクロレタミンや添加物に対して重度または全身性の過敏症を呈したことのある患者には禁忌です。眼など粘膜との接触も避けなければなりません。メクロレタミンに眼が接触すると、痛みや炎症、羞明(photophobia)、視覚のぼけ、場合によっては長期かつ重度の傷害が生じることがあります。取り扱いには十分注意する必要があります。